南侑樹(2019).「高等学校の英語授業におけるリアクションペーパーの使用 ―記名式と無記名式の違い―」『中部地区英語教育学会紀要』48, 145-150.

実践に至るまでの経緯

実践者は、教歴 6 年目の公立高校の教師で、リアクション・ペーパー(以下、RP)を学びを見とるツール、授業改善のツールとして用いてきました。使い方は学習者の実態に応じて変えてきましたが、今回無記名式から記名式にすることで、どのような利点や課題があるかについて、明らかにすることにしました。

問い

本研究の研究課題は以下の2つです。

  1. フォーマットが変わっても学習者は RP を用いた授業を好意的に受け止めたか。
  2. RP のフォーマットの違いを学習者はどのように受け止めたか。

参加者

参加者は高校1年生で、第一期(2017年4~8月)は78名、第二期(2017 年 10~2018年2月)は82名が対象となりました。

データ収集法

研究課題1については、質問紙を用い、①全体的な授業評価(事後)、②授業は分かりやすい(事後)、③RP について(事後)の4 件法の調査と自由記述をさせました。
研究課題2については、第一期と第二期の両方の参加者のうち同意をした15 名にインタビューを行いました。

データ分析法

質問紙:4件法については、回答の割合を産出し、自由記述については、コードを付与して分類しました。 インタビュー:発話分析が行われました。

結果・考察

本研究で得られた結果と考察は以下のとおりです。
研究課題1:RP は記名式であっても無記名式であっても、学習者にとって有益なツールとして捉えられていることが分かりました。また、RP が「良い」あるいは「良くない」と思った理由について記述させた結果、好意的に捉えている学習者が大半でしたが、その中でも以前(無記名式)との違いに言及されているものから、記名式は形が残るので、学習者にとっても有益である可能性があることが明らかになりました。

研究課題2:記名式について13人が好意的に、2 人が否定的に捉えており、学習者により取り組みに変化が見られました。また、無記名式から記名式に変わることによって、授業者から直接コメントを得られることを好意的に捉える学習者や、自分の学びが残ることに対する好意的な反応を見せた学習者がいました。一方、無記名式だからこそ気軽に書ける面がなくなったことに対する不満感や、記述を見られることへの不安感を感じる学習者もいることが分かりました。

感想・コメント

実践者は、RPを学習者の実態に合わせて思考錯誤しながら使用してきました。本論文では、記名式と無記名式の違いに着目して、日頃の授業からRPの記述の内容の変化を見取るとともに、質問紙とインタビューを通して学習者の率直な意見を収集することで、教師自身の深い省察へとつなげています。授業でRPに割く時間は3~5分という短い時間ですが、そこから得られる情報は多いことが分かります。授業改善の糸口として、RPを導入を考えている教師にとって参考になる事例といえるでしょう。

書誌情報

南侑樹(2019).「高等学校の英語授業におけるリアクションペーパーの使用 ―記名式と無記名式の違い―」『中部地区英語教育学会紀要』48, 145-150. https://doi.org/10.20713/celes.48.0_145

WordPress.com でサイトを作成
始めてみよう
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。